CANDy BLOODでは、ハンドメイドレザーアイテムのオーダーメイドをメインで行っておりますが、実はCANDy BLOODの前身は、オリジナル家具をオーダーメイドで作る家具屋でした。今回は、CANDy BLOODのディスプレー用の家具を作った時の制作過程の記録です。
このディスプレーラックのデザインは私が創るわけでは無い為、最初に完全に決定しておかなければなりませんでした。でも、これがまた難題、、、。
なぜなら自分が創るのであれば、創りながらその都度、デザインを最適化しながら創っていく事が出来ます。ただ今回の家具に関してはそれができませんでした。いつもは必要のない設計図が、今回に関しては必要になるという事。当然ながら普通に考えただけではインパクトさに欠けるデザイン図しか浮かばない事が目に見えていました。
となると時間をタップリかけて想定外のアイデアがどうにか出る事を祈るしかありません。ただ、いざデザインしていくと次々にアイデアが湧き始めてくれました。
ですが、これといったインパクトのあるアイデアがやっぱり出て来てくれません。創りながらその都度、その段階ごとに最適なデザインを描く事が出来ないという難解さ。創っている時に想定外の絶望するような失敗をしないと、脳が本当のフル回転してくてないようなのです。でも、デザインを考えている段階では、物理的に失敗をする事もできません。さて困りました、、、。
そんな時、私は鉄鋼所をしている友達の所にフラっと遊びに寄ったのでした。
たくさんの鉄がそこら中にあるので何でも観察する事が大好きな僕は、その鉄の物体を何気なく観察していました。すると、フとある考えが頭の中を過ったのです。
それは「家具のどこかに鉄を使ったら?」という感じの雰囲気でした。
『そうだ、木と革と鉄を使おう!!』
アイデアというのは、机に向かって必死に出そうとしても出てきません。いつもと違う気分でいつもと違う行動をした時にこそ、一番良く降りて来てくれるものです。
もちろん、そうなるためにまずは頭で必死になって考えに考えてもがき苦しみ抜いてからでないと、良いアイデアは降りて来てはくれないようですが、、、。
私は『これだ!』と思いました。どこにどう使うのかは案外とすぐに降りて来ました。「足として使ってスワロフスキーをどうにか取れないように付けられるかやってみよう。」これが私のひらめきでした。
その後、足を鉄で付けるという案を形にする時にとっても大変でした。もう少しすんなり行くと考えていただけに、とても苦労してやっとの事で形になってくれたのです。しかも、やっぱりここでも失敗が良いアイデアのヒントをくれたのでした。失敗は成功の元というだけあって、失敗から学び取る事は本当に大きい、、、。私は改めてそう思いました。
失敗をする事で視野が拡がったり意識が変わったりする事が多いのは、人の持つ潜在的な力が何とかしようという危機管理能力がフル回転してくれるのだろうと思います。人間は空白を埋めたがる性質を持っている生き物なので、失敗する事によって、それまでのゲシュタルトが崩壊します。その失敗という空白をどうにか埋めようとして脳がフル回転してくれるのではないでしょうか。
創造と破壊もそういう原理では無いかと思います。とにかく、私は自分の生きて来た人生を振り返ってみても、失敗して絶望した後に必ず転機が訪れています。勿論これはただの失敗ではなく絶望するような失敗を意味しています。想像を超える人生における大失敗や死にたくなるようなレベルの大失敗の事を意味し、そういう時の人間の潜在能力は物凄いわけです。
これはいざ体験してみると理解できるものですが、生半可な気持ちでは耐える事ができない部類のそんな失敗ですね。ちょっと話が大きくなってしまいましたが、今回の家具の足も失敗からヒントを得る事で成功につなげる事ができました。今回の失敗は死にたくなる様な失敗ではありませんが、それでも絶望に値する失敗ではありました。だから、その崩壊したゲシュタルトを埋めるために、新しい視点で考え始めてくれたのです。
想定外が起こらなければ、自分の枠内の事しか浮かんできません。それはまさに喜ぶべき失敗なのですが、失敗した瞬間はいつも『終わった、、、』と必ず絶望してまずは落ち込むものなのです。
そうして時間という名の特効薬が効きはじめ精神的に乗り越えると、頭がフル回転していくのがとてもよく分かります。そこで初めて次々にアイデアが浮かわけです。
追いつめられ自分の失敗をどうにか自分で乗り越えなければと覚悟した状態になって初めて脳のリミッターが外れ脳内モルヒネが溢れ出し覚醒していくのです。
ここでまさに「失敗は成功の元」という意味を体感できる事になります。創造は破壊があって始まるんですね。それはそれは味わってみた人でしか分からないかもしれませんが、、、。