人が他者とコミュニケーションを取る時、その裏側にあるもの、それは
「人間関係を円滑にする為」
「楽しい時間を共有する為」
などの潜在的願望があるかと思います。
しかし、今回ここで私が書くコミュニケーションは、クリエイティブな世界に生きる人のコミュニケーションの重要性についてです。
ちょっと遠回りのように感じるかも知れませんが、本題に入る前に、こんな話を書いておく必要がありますので、お付き合い下されば幸いです。
デパートなどのセレクトショップや服屋さんで売っているバッグを買う時の判断基準は、
「安い」と感じる「値段」であるかどうか・・・
という人が世間一般では一番多い考え方だと思います。
しかし、この考え方の裏側にあるのは、
「量販品のバッグ」=「消耗品」
という潜在的な観念です。でも、この観念はおそらく正しいと思います。
なぜなら、このような既製品バッグを量産しているバッグのメーカーは、量産している時点で、大勢の人に売るためにそのバッグを量販しているはずだからです。
要するに、
・買い手である消費者の目線
では無く、
・売り手である販売者の目線
でバッグを作っている訳です。そうで無ければ、なぜ
・たくさん売る必要があるのでしょうか?
なぜ
・1人の為にバッグを作らないのでしょうか?
つまり、追求していくと必ず、「作ったバッグは全部売らなければいけない」という所に辿り着く訳です。
なぜなら、バッグが売れ残ってしまえば損失になり赤字になるからに他なりません。
要するに、「誰でも良いから作ったバッグをすべて売りたい」という事ですね。
それらはすべて「誰でも良いから売りたい」という販売者側の勝手な都合によるものです。例えそれが、海外の有名ブランドのバッグの場合であっても、そのバッグが量販されているバッグなら同じ事なのです。
これはバッグに限っての話では無く、既製品というカテゴリーすべてに当てはめられる話です。
こういう事に気付いている人は案外少数なんです。気付いている少数派の人たちが、無名なCANDy BLOODでオーダーをしてくれます。
ネット販売という異質な世界で、お互い顔も知らないにも関わらずオーダーして頂けるんですよ。
しかも、世間一般的に見て、決して安くは無いはずなのに、です。(とは言っても決して高くも無いですが)
これは、奇跡のような話だと思います。会計士さんにも「こんな個人店は他にありませんよ」と言われる程、本当に凄い事だと私自身も思っています。北海道から沖縄まで全国の方からご注文を頂けるんです。
実店舗に会った事も、店に行った事も無いのに、CANDy BLOODでオーダーをしてくれるというのは、なぜなのでしょう?・・・なぜ、そんな現象が起きているのでしょうか?
それは、既製品で満足出来ないからに他なりません。こんな事を声を大にして言うのも何ですが、決して、
「品質が最高だから」
という理由ではないんです。
CANDy BLOODより品質が良い物は世の中に、たくさんあります。それでも、CANDy BLOODでオーダーしたいと思って頂けるのは、お客さまから直接お聞きしたのですが、他では決して売っていない誰ともカブらないオーダーメイドのバッグを作っているからなんです。
今では高校生でも持っているブランド品には魅力を感じなくなり、誰も使っていない世界に1個の、自分だけのモノが良いのだそうです。
私たちCANDy BLOODは、「誰でも良いからオーダーして欲しい」とは、一切考えていません。
もし、CANDy BLOODがお金儲けの為にやっているのであれば、誰にでもオーダーしてくれたら嬉しいのでしょうが、そもそもオーダーして頂いた時に、私が嬉しいと感じるのは、
・作った作品に対するクリエイターとしての評価
です。
なぜなら、幼稚園児の頃に初めて体験した「感動」を再現するために、私はモノづくりをしているからなんです。
私が作ったもので、初めて人を感動させる事ができた、あの時に味わった感情を蘇らせるためにモノ作りを続けているのです。
おそらく、私がモノづくりがをしているという事が、「他者に貢献している、という実感を持てる」からなんだと思っています。
要は私が出来る事を通して、他者に喜んでもらう事で、私は自分の存在価値を感じられるからなんでしょうね。
極論を言うと、「私は生きていて良いんだ」と思えるからです。その瞬間の一瞬でも、「私には存在する価値がある」と思えるんです。
大袈裟なようですが、突き詰めて考えると、そこに辿り着きます。
でも・・・生きていくためにはイヤラシイ話、お金が要ります。私が一つ一つハンドメイドで作るバッグをお客さんに、量販品店と同じような価格帯で販売してしまえばCANDy BLOODはあっという間に倒産してしまいます。
私のモノづくりで、「明るく幸せにする事」ができたはずの人を救う事ができなくなります。それでは本末転倒です。
私が作り出す作品は1個ずつしか作り出す事ができません。
ハンドメイドで私が作るレザーアイテムの価値を上げるしかありません。価値をどう上げれば良いのか考えました。
私は人に「誰よりも自信がある」と見られがちなのですが、謙遜ではなく、誰よりも自信が無くいつも不安な人間です。
でも、「他者に貢献する事が出来た」と感じる時、私は自信が持てます。
他者に貢献する事で、「私にも価値がある」と、初めて感じられて、「自分がそこに居て良いんだ」と思えるんです。
だから、私は自分ができる得意な事を通して、他者に貢献したいと思っているんです。そのためには、まずコミュニケーションから始める必要があります。
これは、「嫌われる勇気」というアドラー心理学の本の中にも描かれている事なのですが、この本を読んだ時に、「やっぱりそうなんだ」と確信に変わりました。
私が人生の中で、おそらく最も大切にしているコミュニケーション・・・
なぜ、コミュニケーションを大切だと感じるようになったのか?
それは、過去に誰とも話をする事が出来ず、孤独な三年半を経験した事があったので、心からコミュニケーションが大切だと感じられるようになったのです。
小さい頃にはイジメを受けた経験も、今思えばこの事に気付く為の伏線になっていたように思えます。
どちらにしても、私は人とのコミュニケーションを大切にしたいと思っている事は間違いありません。
もし、私がコミュニケーションを取らないとしたら、私は他者にモノづくりを通してコミュニケーションする機会を奪われてしまいます。そんなのは嫌です。
他者に貢献する事が出来なってしまえば、私自身の自信も無くなってしまうでしょう。先程も触れましたが、他者に貢献する事ができて初めて自信が生まれるからです。
そのためには、私はモノづくりを通して、私の作るレザーアイテムに価値を感じて貰えなければいけません。
価値を感じられないのに、他者に貢献する事などは不可能だからです。
と、いう事は私の作るレザーアイテムに価値を感じてもらう必要がある訳ですが、先程も触れたように、どうやって私は、私の作るレザーアイテムに価値を感じて貰えるのでしょうか?
私の作るレザーアイテムに価値を感じて貰うという事は、私が生み出すレザーアイテムを見て、
「カッコ良い!欲しい」
と思って貰える事が大前提になる訳です。
私が、人よりちょっと手先が器用で、ただモノづくりが得意な人間というだけなら、何かモノを製造するだけに使命を全う出来たのかも知れません。
しかし、私はそうではありません。
私の使命や役割は、「私に出来る事を活かした事で、人を明るくし勇気付ける事」だと思っています。
私に出来る事、その1つであるクリエイティブなモノづくりで、人を明るくし勇気付ける事です。
そういった事を実現する為にも、やはり「人とのコミュニケーション」が何よりも大切な事だと私は感じています。
私は、人とのコミュニケーションを通して、その人自身も気付いていない、活字にする事すら出来ないような、言葉と言葉の間にある「何か」を感じ取る力が必要だと思っています。
その人自身が気付いていない「何か」を感じ、それを形にするその力こそ、私のようなクリエイティブな世界で生きる人間に求められた才能なのかも知れません。
だからこそ、日々のコミュニケーションの中から、その人が「どんな事を潜在的に求めているのか?」という事に気付く洞察力が欠かせません。
そして、そこで感じ取った「何か」と、私自身の感性をハイブリットする事で、その人の固定観念を覆すようなCANDy BLOODの世界観を創り上げていくんです。
決して私だけの頭の中だけを具現化している訳では無く、一緒に創り上げている感覚なのです。
追求すると、人とコミュニケーションを取る事が、「私が作り出すレザーアイテムに価値を感じて貰う為には?」の「答え」です。
私が作り出すレザーアイテムに価値を感じて貰う為には、人とのコミュニケーションが必要なんです。
そして、そのためには、私は「受動態」である必要があります。私の感性だけを全面に出すのでは無く、私を通してハイブリットした後に発するからです。それが人の心に届く作品になると思っています。
CANDy BLOOD、つまり私のフィルターを通してCANDy BLOODの世界観を作品に込めながら、目の前の1個1個を真剣に作る事が私の使命です。
それがしっかりと出来た時、私の作ったレザーアイテムを必要としている人の心に初めて響く「作品」に成るのだと思っています。
もし、誰の心にも響かなかった場合は、「他者に対して貢献する事が出来なかった」という訳ですから、私自身の自信には繋がりません。
そうならない為に、私自身の欲求を研ぎ澄ませながら、人とのコミュニケーションを通して、時代の半歩前を読む目を常に意識し続ける事が大前提になります。
私が努力を怠り、私だけの感性で独りよがりのモノづくりをし始めたら、CANDy BLOODの未来は無いでしょう。
誰の言葉も、誰の心も受け入れなくなり、私がただの頑固者になってしまう事が無いように、これからも人とのコミュニケーションを大切にしていきたいと思っています。
これからも私は、CANDy BLOODの世界観で幸せになってくれる人の為に作り続けます。